後悔日誌

深夜テンションで書くブログ。航海日誌ではない。

「公用車に子供を同乗させる」のは問題なのか考えてしまった

「みんなで足を引っ張りあって不幸になろう、ニッポン」

 

金子恵美総務大臣政務官(衆議院議員)が息子さんを公用車で保育所に送迎したとして、議論を生んでいる。

報道になるほどなので当初はてっきり「子供を運転手に預けて公用車で自宅・職場と離れた市中の保育所に送迎した」ような悪質な事案なのかと思っていたが、どうやらそうではない。

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"ネタ元"を確認すると、金子氏が霞ヶ関への出勤途中、衆議院第二議員会館地下の保育所に寄って同乗していた息子さんを預けたのだという。

下記の記事も確認しておきたい。

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併せて公務の途中で母親を東京駅に送るのにも使われたという。

 

私にはこれの何が問題なのか、さっぱり分からない。

公用車は金子氏の通勤にきちんと使われている。箱根の別荘でバカンスを送るために利用されたわけでもないし、ゴルフに行くために使われたわけでもない。総務大臣政務官が自宅のある赤坂議員宿舎から総務省に出勤するために使われたまでだ。

 

本人ではない人物が乗車していたから問題なのか?

同記事によると、 総務省は「家族を乗せること自体ダメ」としているという。ただ、あくまで原則論だろう。

というのも実際に、総務省も「運用ルール上問題ないとしている」と説明したという。

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おそらく「家族を乗せること自体ダメ」というのは完全に私的な目的に利用されることを企図したものであり、"公務の途中でついでに"使われることを想定したものではないだろう。

次の記事によると、実際に総務省大臣官房会計課の職員も

「ルートが大きく外れたり、送迎を主目的に公用車を使ったのであれば問題だが、あくまでも公務に向かう経路の途上だったため、今回のケースは問題無い」

と述べているそうだ。

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"私的性質が介在している"から問題なのか?

確かに、子育てを「公用だ」と主張するのには限界があるだろう。

しかし、そもそも議員会館保育所が設置されているのは国会議員の福利厚生としての位置づけもあるだろう。何より、大臣政務官は職務に専念して職責を全うしなければならない。そのために職務中は家族のことはさて置けるように保育所に預けることを問題視する人はいないだろう。

 

だとすれば、子育てに私的性質を一切否定できないとしても、公用車で送迎することは公用車の理念に還元されている。

 

そもそも"私的性質が介在している"から問題ならば、議員が公用車で出勤途中に睡魔に襲われ、「このままだと仕事に支障が出る」と判断して、頭が冴えるようにコンビニに立ち寄ってレッドブルを買うことも"私的性質が介在している"から問題だろう。なんなら、家路につく公用車の中で家族に「今から帰るよ」とメールやLINEを送るのも、"私的性質が介在している"から問題になのだろうか。

完全に感情論になるが、子供の誕生日やクリスマスに、ルートを大きく外れて日本橋や銀座のデパートでケーキを買って帰るくらいしたって、良いんじゃないだろうか。

むしろ家庭の問題で精神的・時間的に余裕がなくなるよりは、健全な家庭を維持して余計なことを考えずに職務に専念してもらえるのなら、その方が良いことは言うまでもない。

 

"私的性質が介在している事象に経費が絡む物品を使うな"というならば、政治家や公務員に限らず、サラリーマンが社費で賄われている通勤定期を私用に用いて節約するのも問題だろう。そもそも世間の自営業者や中小企業経営者が"節税"として、経費で私的な物品を買っている方が金額も高く、悪質性も高いのではないか。

 

検証してみた:実際にどの程度のコストが掛かっているのか?

「実際、経由することでいくら掛かるんだ」ということで、検証してみることにした。

議員宿舎のある赤坂も、衆議院第二議員宿舎がある永田町も、総務省がある霞ヶ関も、その気になれば歩ける程度に近接している。

 確かにルートとしては"寄り道"が生じる形になるが、保育所がある衆議院第二議員会館という場所を考えれば、「出勤途中に忘れ物を取りに立ち寄ることすらある」程度の距離感であることは確かだろう。

赤坂議員宿舎から総務省までの直行ルート:約1km(車で約4分)

衆議院第二議員会館の経由ルート:約2km(車で約8分)
=
差分:約1km(車で約4分)

確かに2倍と言えば否めないが、実際にこの約1km(車で約4分)の差分に、どれほどのコストが掛かっているのだろうか。

 

実際に公用車に使われている車が分からなかったので、ひとまずトヨタ・クラウンで試算してみた。仕様書や調達情報を掘り起こせば契約業者や車種も分かるのだろうが、正直言って面倒くさい。

どうやらトヨタ・クラウンロイヤルの2.5LハイブリットエンジンのFR車は23.2km/Lの燃費を誇るらしい。技術の進化とは凄まじいものだ。 

toyota.jp

資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」にある「給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)」によると、6月28日時店での東京都内のハイオクガソリンの価格は142.9円だそうだ。

www.enecho.meti.go.jp


ひとまず、燃費:23.1km/Lガソリン価格:142.9円/L差分距離:4kmで試算してみる。

燃費が23.1km/Lということは、クラウンロイヤルが1km走ると約0.0432Lの燃料を消費するので、4kmだと約0.1732Lの燃料を1回の経由で消費する

燃料費が142.9円/Lだから、1回の経由で消費される燃料費は約24.7446円

家路も公用車だとして、1日あたり49.4892円

(実際にはしてくれているようだが)夫の宮崎謙介氏が送迎してくれないとして、週次で123.7229円。1ヶ月を4週間として月次で494.8918円。1年を52週間として年次で6433.5931円

夫や母親の支援があるとすれば、実際にはもっと低い金額で済んでいることだろう。

 

実際には他にも運転手や秘書官の人件費が掛かっているのは言うまでもない。彼らの業務は時間給ではないので考えるのは難しいが、とはいえこれも4分という時間を考えれば大きな額でもないだろう。

自動車や部品の消耗も考えようと思ったが、官公庁の公用車など定期的にリプレイスされるもので影響は極めて小さいと判断して割愛した。

もちろん、愛人の送迎やゴルフ接待に用いられたのであれば金額関係なく倫理的な問題だが、一人の女性の子育てを支援するために職場が払う金例え税金だとしても税金だとしても騒ぎ立てる金額でもない。

そもそも「子育てしやすい国にする」のは政権の意向じゃないのか

やれ「働き方改革」だの「プレミアムフライデー」だの、安倍政権は労働者のワーク・ライフ・バランス実現に注力している。

少子化が社会問題となっている現代において、「ワーキングペアレンツを応援する」ことに反対する人は少ないだろう。例えそれが国会議員であっても、仮に閣僚だったとしてもだ。いや、むしろ政府高官がワーキングペアレンツとして活躍することで、よき「ロールモデル」としての役割を担い、「ワーク・ライフ・バランス実現」を社会全体に波及することもできるとすれば、むしろ公用車の利用を推進しても良いくらいだ。

逆に活用しないほうが時間もカネももったいなくない?

とはいえ、金子氏は「送迎に公用車を利用しない」方針を高市早苗総務大臣に報告してしまったそうだ。

www.asahi.com

これでは世間のワーキングペアレンツがますます萎縮してしまう。大臣、副大臣大臣政務官といった政務三役のみならず、各省庁や各地方自治体の幹部クラスを始め、公用車が充てがわれているポストは決して少なくないし、そこにワーキングペアレンツがいることも想像に難くない。

民間でも、通勤定期で子供を保育所に預けたり、家族サービスをしたりするワーキングペアレンツなど、何人もいることだろう。で、何が問題だというのか。

 

何より、せっかくコストを掛けて維持している公用車が遊んだままという、非常にもったいない状況が発生することになる。個人的には「じゃあ私の送り迎えに貸して」くらいの気分だが、遊ばせておくのは税金の無駄遣いでしかない。

仮に批判に配慮して金子氏が議員宿舎から衆議院第二議員会館まで徒歩、そこから公用車で送迎されるとしても、「それなら最初から公用車を使えば良いじゃん」となるわけで、もったいない状況であることに変わりはない。

 

せっかく税金を使って維持している公用車なのだから、もはや「批判」ですらない意見に屈することなく活用いただきたいものだ。

 

ワーキングペアレンツを減らしたいの?

大臣政務官という多忙かつ重責なポストにある人物が、ワーキングマザーとして職場でも家庭でも活躍しているというのは、全国のワーキングペアレンツにとって心強い存在であるに違いない。

むしろ金子氏にはワーキングペアレンツのロールモデルとして、どんどんチャレンジングに動いてほしかったくらいだ。

職場内保育所を活用して、公用車で息子さんを送迎する。それで(宮崎謙介氏の不倫はいったん横において)幸せな家庭を築き、政治家としての職務を全うする。何も問題がないというのに送迎手段が「公用車であった」という表面的な問題で批判され、全国のワーキングペアレンツが肩身の狭い思いをしなければならなくなってしまったのは、残念で仕方がない。

 

今回の事例で金子氏や総務省を批判するマスメディアや世間はもとより、批判に屈してしまった高市早苗総務大臣を始め総務省、あるいは自由民主党の姿勢には甚だ疑問しかない。

このままでは、ますます「子供を育てにくい国」になってしまう。